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僕ら× 1st.

第14章 P波 --Khs,Ior

そんな僕の心を見越した彼が、「お前、緊張感に欠けてるぞ」と続ける。

「彼女にはお前という人質がいるんだぜ?」

僕も、人質…?

「親父なら彼女に、アルと交わらないとお前の彼氏を殺すと密かに脅すだろう。予防線を引いたって更にまくしたてるさ。彼女を奪って、お前を屈服させたいんだ。

お前を守るために、彼女はアルを誘惑する。アルに抱きついてカタくなったアレに股がるさ。

アルが拒めると思うか?好きなコに迫られて?薬盛られて?彼女を逃がせると思うか?本條の部下が目を光らせてるのに?」

この男、アル兄の気持ちまで把握済みか…。
どうして?
一瞬、根岸顧問の顔がよぎる。
でも、そんなことよりも。

花野が僕のために?
いつかのアル兄の言葉を思い出す。

"割り切るまでに追い詰められてるんだ"

「花野は…そんなこと、できないよ」

まだ男を知らない。
今後、そんな目にあうとわかっている彼女に、僕はもう……。

今に始まったことじゃないけど、あの屋敷って異常だよ。

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