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僕ら× 1st.

第8章 le journal --Ior,Ar

「お前は兄に徹するって決めたんだな?」

手に持った2缶を振りながら兄ぃは言った。

「そう、妹なんだ。けど、今日久しぶりに会っちゃって…。あーっ、すっきりしねぇ!」

頭から離れないのは、伊織に手を握られて照れている彼女。

「そんなときは、はじけとけ。ほら」

1缶のプルトップを俺に向けて開け、泡沫状の炭酸水を思いっきり飛ばしてきた。

「っぎゃー!何しやがる、クソ兄ぃ!」

俺の叫びを聞いて、道場から柊が顔を出す。

「どうした?」

「そらっ」

と兄ぃは柊に、未開封の1缶を投げ渡す。

ニヤリとした柊が、同じように俺に泡を飛ばす。

「お前ら、覚えとけよ」

いつか仕返ししてやる。

「気にするな、俺のおごりだ。帰りに温泉入れてやる」

と言いつつ、俺の頭上からダバダバと流しだす。

「やりぃ!」

柊は、何度も振ってまわりに豪快に撒き散らす。

「好きなコが妹だなんて、冗談キツいよな~」

そう言いながら兄ぃは、ドロドロの俺の髪を洗うかのようにグシャグシャとかきまわす。

「でも、妹だから絶対離れねぇ!」

花野ちゃんと俺は家族になるんだ。

「おお、いいじゃないか。アル、その調子だ!」

住むのはあの屋敷だろうから、ずっと一緒だ。

「だから、別れんなよー!」

いずれ、俺が総帥として率いることになる。
俺が彼女を守ることになる。

「別れたら俺が貰うぞー!」

と柊が差しこんでくる。
っおい!

「いや、俺だろ!」

と、突っこんでるうちに兄ぃが参入する。

「いいや、俺だ!」

こいつらはっ!

「お前ら、彼女持ちが寄ってくんなー!」

炭酸が目に入って痛ぇよ。

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