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僕ら× 1st.

第8章 le journal --Ior,Ar

「伊織の成績がさがるなんてありえねぇよ。逆にモチベーションあがって更に良くなると思う。このコと幸せになるために、こいつが今まですっげぇ努力しているのを俺は知ってるから」

伊織は俺の背中をチェックしてからずっと、彼女の様子をうかがっている。
時折、発言者に目を向けるも、すぐさま彼女を。

ずっと想い続けている彼女、こんなことで逃したくないもんな。

「ふうっ、根岸先生は?」

話にならないと永井は頭を振り、あまり期待してなさげに隣の男に尋ねた。

「僕は温かく見守っていきたいと思います」

そういえば、こいつは俺の気持ちを知ってるんだよな。

「2人は週2回、音楽室で活動してるよな?」

「はい。2人共、大変真面目に取り組んでいます」

「こんな写真撮られてるんだぞ?」

「あの窓の多い音楽室で?いや、脱ぐなら自宅かホテルですって」

ははは……。
俺がオブラートに包んだのによ。

「根岸先生、いい人なのはわかるんですけど…女のコの前だって気にして喋ってくださいね?」

和波さんは、ごく自然に花野ちゃんの肩を抱いた。
それと同時に、伊織が彼女の手を握る。

おい、お前は動くなよ…。

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