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僕ら× 1st.

第6章 卒業まで --Ar,Mkt

そして、廊下にひとりいた柊先パイに伝言をお願いした。

「花野には、来年の夏が来るまでに告白したほうがいいですよ」

柊先パイがどこまで知っているのかわからないけど。

軟派な柊先パイと、硬派なアル先パイ。
どうしてこのふたりが親友?と思っていたけど。
アル先パイを追っていると自然に、近くにいる柊先パイも目に映り、それでわかった。
この人、本当は硬いんじゃないかって。

だから、アル先パイから信頼されているんだ。

去年の新聞部襲撃事件は、私も伝え聞いていた。
柊先パイのこと散々劇悪に書いた記事が出まわって、アル先パイが殴りこみ、訂正謝罪記事を書かせたとか。

親友思いの素敵な先パイ。
そんな先パイなら、弟のように可愛がっている速水と花野のことを知ったら、何も言わずに想いを殺してしまう。
そう思った。

速水のいないうちに。

消えゆくにしても、大切な先パイの想いを伝えてからにしてほしかった。
でないと、花野のなかに残らない!

それがあとあと、どんなに悲しいことか……。

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