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BLUE MOON

第4章 スタート


「ふぁ~」

職場で一番気の合う桃子とのランチタイム

「また寝かせてもらえなかったの?」

「ち!違うよ!」

大欠伸をしたと思ったら今度は顔中を真っ赤に染めて嘘をつく。

社内で一番人気と言われてる桜木チーフの彼女になった桃子はあれよあれよというままに同棲をすることになった。

こんなことが社内に広まったら桃子は生きていけないだろうということで二人の関係は私と魚住課長しか知らないらしい。

そんな幸せ気分の桃子は気の抜けるこの時間 私の前で大欠伸をする。

「いや…あのね、仕事から帰ってくるのが遅いから待ってるだけなの。ほら、アタシ居候の身だから」

「へ~意外。彼氏さんはそんなこと桃子に強要するんだ」

「違うよ…私が勝手に」

桃子のことだから嘘ではないんだろうけど その彼女らしい心遣いに桜木チーフがヤられちゃってるってところが現状なんだろう。

ズバ抜けて美人ってわけでもないしスタイルがいいわけでもない。

でも 立ち振舞いというか所作が綺麗でとても気が利く女の子。

「愛でてもらえ」

「だから、違うって」

「愛でてもらいなさい」

「もぅ」

私が男だったらきっと心奪われてしまうのだろうと思える娘。

「でも良かったね」

「…うん」

「幸せそうで何よりですな」

「ウフフ、麻里ったらオバさんみたい」

いつものように食堂の奥に座ってのんびり会話を楽しみながらランチタイムを満喫する私たち

「麻里は今日も残業?」

「うん…今か抱えてる案件がなかなかしぶとくて」

「そか…お疲れ様だね」

「でも、来月にはこの案件から解放される予定だから終わったら呑みに行こうね」

満面な笑みを浮かべてコクりと頷く桃子。

「そういえば桜木チーフ何か言ってた?」

「何かって?」

「五十嵐さんも営業部に戻ってくるって話」

「五十嵐さん?」

相変わらずこの娘は疎い

「ほら、桜木チーフが育てたっていう私たちの3つ先輩の」

「…誰?」

「ハァ…もういいよ」

桃子に言ってもわかるわけないか。

だってほら、また大きな欠伸をしてる。

「あなたの彼氏さんは来月からもっと忙しくなるから今のうちに愛でてもらってなさい」

「だから、違うって」

そんなに顔を赤くして言われたって誰が信用すると思ってるんだよ。

「さて、午後も頑張ろうっと!」

「麻里!もうっ!」

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