テキストサイズ

ジッパー様

第22章 ジッパー様の正体

 私の身体に触れていた四つの手はスルスルと引っ込んでいった。


「本当はこの姿を見せるつもりはなかったんです。でもあなたといると私は感情が高まり、自分を制御できなくなる」


 今振り返れば、ジッパー様の本当の姿が見えるだろう。


「……だから、後ろを振り返らないでくださいって、あの時言ったんですね……」

「ええ、きっと知ればあなたは二度と私の前に現れないだろうと思いました」

「……」


 確かにあの時……夜会パーティーの時に、ジッパー様の本当の姿に気づいていたら受け入れられなかったかもしれない。


 でもジッパー様は私を何度も助けてくれた。私を大切に想ってくれた。私を自由にしてくれたのはジッパー様なの。だから――。


ストーリーメニュー

TOPTOPへ