眠れない夜を抱いて
第2章 その男、αにつき
仕方なく、言われるままに降りる予定じゃない駅で降りて
つい、変態呼ばわりしたこいつの後に着いていく
あーあ
バイトも遅刻だ
電話しなきゃダメじゃん
何て理由付けよう。…さすがに本当の事は言えない
…つか
駅員に言うのすら気が進まない
「なぁ、本当に行かなきゃダメ?」
降りては見たけど、やっぱり嫌だ
「俺が見たままに話すから、君は頷いてるだけでいいよ。ショックで話せないとでも言うから」
「あ…そう」
そこまで言われたら諦めるしかないか
「ってかさ、君抑制剤持ってる?」
「は?」
「多分…今すぐ飲んだ方がいいと思う。じゃないとちょっとヤバい気がする」
…確かにそろそろかなとは思ってたけど、そんなに?
だけど今までは、幾ら発情期前でもそんな事言われた事も匂わせる出来事もなかった
なのに、何故こいつはそんな事を言うんだろう
「…そんなに分かるもん?」
「いや、俺もこんなのは初めて」
腕を掴まれたおっさんを無視して、話す内容は少しだけ真剣だった
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