眠れない夜を抱いて
第6章 限界はすぐに訪れる
噛み砕くだけのそれを口に投げる
何かに急かされるように噛んで、唾液で飲み下し、小さく息を吐いた
残りはあと2つ
本来なら次の発情期、もしくは1日1錠で明後日行く予定の病院まで間に合うはず
だけど
持たないだろう事は容易に想像が付いた
1日1錠
これを守らないとかなり深刻な副作用があるのは承知している
だけどこれだけ効かなかったら仕方ないじゃないか
1日から半日、半日から数時間
確実に相葉さんといると抑えが効かない
今だって、朝飲んでからまだ3時間も経ってない
なのに彼が隣にいるだけで
どこかが触れるだけで
忌々しいほどの飢餓感にも似た “欲しい“ と言う感情が競り合がる
…違う
“欲しい“ なんて稚拙なもんじゃない
骨の随まで、喰らい尽くされたい、壊れてしまうまで支配されたい
……そんな、激しすぎる衝動
既に決められた用量を超えた薬を受け入れた胃がムカムカしているのを見ないフリして
“生理現象からスッキリしました“ 適な顔を作り上げ、相葉さんの元へ戻っていった
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