眠れない夜を抱いて
第3章 友達じゃなくて
困ったような笑みに変わった大野さんが「ホント、厄介だよね」…そう呟いたところで
「あれぇ、何、もう仲良くなったの?」
にのがふわふわした足取りで戻ってきて、話はそこで途切れてしまった
大野さんが “この話はやめ“ と目配せする
頷いた俺は、何となくごまかすようにグラスを傾けた
「そ、にのの友達なら俺の友達だし」
大野さんが笑いながらカウンターの中に引っ込むと
「ふぅん」
聞いておきながらさして興味もないのか、にのがグラスに残った酒を飲み干す
まだ俺にそこまでの感心は持っていないのだろう
まだまだにのとの距離は遠い
いや、もしかしたらやっぱりどこかαに警戒しているのかも知れない
「大野さんってにのの友達?」
「んー…友達っつうか、なんだろ。ねぇ大野さん、俺って友達?」
にのが少し声を大きくして、カウンターの奥で何かしている彼に尋ねた
「えー?お前が思ってるやつでいいんじゃね?」
奥からは返事だか何だか分からない答えで
「なら、友達」
にのが俺に振り返り、へらりと笑った
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