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碧い空に出逢えて ~ 羽ばたく鳥 ~

第3章 青空と共に・・・流れる雲

『マリア・・・お前

〃こんなもん〃のために

駆け回ってたのか・・・』







〃その成りで〃…とは言わなかったけれど

優人は…心配そうに

所々ススやホコリで汚れた私の服や

ろくに歩けない

或いは…彼の記憶では〃歩けない私〃を

本当に心配するようにチラリと見つめて




どこか切なそうにそう言うと

優人は…私の左手をとって

薬指に光るそれを見つめました






『こんなもん…じゃないもん

私の・・・〃大切なもの〃だもん』






『・・・持っててくれたんだな』






『・・・』







『バカだなぁ・・・お前ホント

こんなもんのために・・・っ』






優人の声が

少し・・・震えていました






『ゆぅちゃん・・・』




私は…そっと握られた左手を
握り返して

そのまま優人の胸に
頬をつけて沈みました






『マリア・・・っ』






ぎゅう・・・っ





力強い・・・彼の腕





まったく…思いもよらぬ出来事



数年前

数ヶ月・・・数日

ほんの数時間前まで



誰も・・・優人も・・・私も



まず予想出来なかった


考えられなかった出来事







やっと一息ついたか

深呼吸したかのように

私たちはきつく抱きしめ合って





奇跡とも言える・・・その偶然が


夢や幻でないことを


ようやく


確かめ合っていたように思います

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