
碧い空に出逢えて ~ 羽ばたく鳥 ~
第2章 薄紅色の奇跡・・・
『ありがとう・・・』
経緯はともかく
私も…優人が私に
それを届けようとしてくれた
それだけはわかる
そんな気持ちで…手を伸ばす
『・・・』
『・・・』
くどいけれど
お互いに…言葉という言葉は
中々…ほぼほぼ出てこない
ううん・・・いらなかったの
私は…優人が
劣化したチェーンから抜き取って
手にする指輪と
なんとなく・・・心なしかの
彼のその視線を見て
私自身もあまり意識もなく
自然にだったけれど
右手ではなく・・・左手を
優人に向けて
そっと伸ばしました
まるで
〃無言の問い〃
と
〃無言の答え〃
のように
〃私のここは・・・空いています〃
そして・・・優人は
私の答えを受けとるように
私の左手
〃薬指〃に
そっと
大切な指輪をつけてくれました
私は…指輪を受け取り
改めて優人と向き合いました
言葉の代わりに
涙ばかりが出てくるお互いを
正面から見つめて
そして・・・その空気と
懐かしい匂いの中で
何かが
私の頭をよぎったのです
『・・・』
私・・・この人に
言いたい事がある
伝えたいことが・・・ある
ずっとずっと前に
つよくつよく誓ったこと
ずっとずっと
叶わなかったこと
果たせなかったこと
果たされないままだった・・・約束
それが・・・今なら
今・・・この瞬間なら
果たせるかも知れない
