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碧い空に出逢えて ~ 羽ばたく鳥 ~

第2章 薄紅色の奇跡・・・

驚いた・・・

まともな感覚がわからなくなるくらい。




見間違える訳がなければ

間違いもない




そんな・・・目で、耳で

鼻で・・・肌で



全ての〃感覚〃で

わかっていながらも




〃そんなハズがない〃と

矛盾・・・混乱する脳内





私は…本能にも似た

沸き上がる感情や

熱くなる目頭の熱を感じながらも




ほんの一瞬

少しだけ・・・冷静になろうとしました。










驚いた・・・本当に




だけど、冷静に考えれば



懐かしい…〃その人〃が

まさかもまさかで現れたからと言って



懐かしい・・・なんて言葉が

ふさわしい程の年月の経過を思えば








〃相手〃がいるかもしれない・・・




〃家庭〃が・・・あるかも




〃子ども〃がいるかもしれない








・・・当たり前に

十分に考えられる

数々の可能性。







そして私は

かつてより

彼のそんな未来を願っていた







そんな事を

頭のどこかで思いつつも







私の体は・・・目は

どんどんそちらをむいて

はなれることが出来ずに







そして

そんな事を冷静に考えようとしても

私の・・・体は








私の目からは勝手に


涙が・・・あふれ出していました










そして・・・それは






同じくこちらを見て






私を見つめている


その人の目が





その反応が


すべてを物語っていたからでしょうか








ゆっくり・・・ゆっくり

もどかしくも


本能のように

そちらに向かう・・・私の脚







贅沢なんか言わない
そう言って来たのに


〃歩きたい・・・もっと〃


〃もっと・・・はやく歩けたら〃


〃私が・・・走ることが出来たら〃







この時の私は・・・本能のように

そう思っていたように思います





もどかしい

もっと早く動いて



そんな脚を引きずって

時に反動で転びかけながら

一歩ずつ進む







ところが







それよりもはるかに速い

正常な動き・・・そのスピードで



その人は


こちらに


歩み寄り・・・そして




次第に・・・駆けてくるのでした

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