
碧い空に出逢えて ~ 羽ばたく鳥 ~
第3章 青空と共に・・・流れる雲
勝手に…一息
安堵しようとした私は
或いは…彼も
その一声に
思わず顔を上げて
その声の方向に釘付けになりました
『ちょっと・・・待ってよ
黙って…黙って聞いていれば
さっきから・・・っ
いきなり…そんな
何を言ってるのよ・・・っ?!』
カタカタと震える手で
テーブルを掴むように
そして
その困惑した表情を隠すように
手で口元を隠しながら
声をあげたのは
私の母でした
『そんなの・・・
あった話じゃないわよ・・・っ』
今にも泣きだしそうな
その表情を隠そうと
口元に当てた母の手は
物も掴めないのではないか
と言う程に…小刻みに
絶え間なく震えていました
『どうして…そんな話になるのよ!?
いやよ・・・そんな
私は・・・私は反対よ?!絶対に…っ!!』
『お前・・・少し、落ち着きなさい』
制止しようとする父を横に
母はますます涙目になって
首を横に振り続けていました
『何言ってるのよ?!
あなたはあなたで・・・っ
今回だって・・・っ
上京させるのは…私は反対だったのよ?!
だけど・・・それは
まりあの治療のために
まりあの事を考えたら
それが最善だから…仕方なく・・・っ
~~治療のために上京させたのよ?!
そんなっ・・・
〃そんなこと〃のために・・・っ』
『落ち着きなさい・・・』
『あなただって知っているでしょう?!
まりあが・・・あんな
あんな大変な目に遭って
どれだけ・・・どれだけ努力して
ここまで回復出来たのか
それを・・・それを・・・また
~~っ・・・ぅっ・・・』
『少し落ち着きなさいって・・・お前』
『おかあさん・・・ごめん』
私の・・・かつての過ち
それは…あらゆる意味をもって
かつての結婚生活
そして…その末の出来事で
私は・・・母に
大きな心の傷を負わせていたことを
ここで…本当に痛感したのでした
