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Everyday Love MORE

第4章 アン・ドゥ・トロワ【白黄】






ジャスミンはテツの自室へと来ていた。
2人は少し前から交際しており、お互いの自室をよく行き来していた。
今日もまったり2人でお酒でも飲みながら雑談をして、いい頃合いになったら自分の部屋に戻る。ジャスミンはそう思っていたのだが。
部屋の空気や雰囲気がいつもと違う気がした。
何故かいくらお酒を体内に流し込んでも酔えなかった。心臓がいつもより早く動き、ソワソワと落ち着かなかった。
自分だけか、とテツを見るとテツも妙に厳しい顔をして心ここに在らずといった感じだ。
お互い変だった。いや、簡単に言ってしまえば''意識''していたのだ。
特にアクションがあったわけではない。誰かに何を言われたとか、テツから何か言われたとか、そういう訳じゃない。でも薄々気付いていた。無意識にエスパー能力を使ってしまったのだろうか。
ジャスミンはまだ体を重ねるといった行為を知らなかった。
境遇が境遇でろくな恋をしてこなかったジャスミンがやっと初めてちゃんととした恋をしたのだ。
決して、この関係を壊したくない。それはテツも同じようで思いが通じあってからかなりの月日が経つがジャスミンへは何もしてこなかった。
しかし、テツだって男である。もうそろそろ我慢の限界も近いんではないか。だからこの空気なんじゃないか。
ジャスミンもテツになら前触れなく強引に押し倒されも別に良かった。

「ねぇ、テツ…」

この空気に耐えられないのと、すべてを壊して前に進みたかったジャスミンは思い切って話しかけた。

「な、なんですか…」

テツはこっちを見ず聞き取れるかどうか怪しい返事。

「私はよござんすよ?」

そう答えた瞬間、テツは勢いよくジャスミンを見た。

「大丈夫なんですか?…俺…」
「テツだからいいのよ」

その返事にテツの理性は音を立てて崩れた。




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