
Everyday Love
第7章 あこがれ【白黄】
「10年かぁ…」
「何がです?」
特に目立った犯罪はなく2人はお茶をしながら事務作業をこなしていた。
ジャスミンの一世一代の告白からまた時間が経った。
アリエナイザーは度々現れるが平和な日常はなんとか続いている。
テツは地球署副署長を務めながらも署長のドギーを見習ってか現場に顔を出す頻度は減っていない。
最近、また一段と男らしくなったとはジャスミンの評判。
ジャスミンは相変わらず現場に出て、アリエナイザーと戦っている。
見た目が全く変わらないのにどんどん美人になっていくとはテツの評判。
「いや、テツが来て10年だって」
「そう言えばそうですね…早いなぁ」
「この10年色んなことがあったねぇ」
「そうですね、ボスの件とか」
「久々にバンに会えたしね」
「センさんとウメコさんはもうすぐ結婚ですって」
それから思い出話に随分と花を咲かせ、テツは急に真面目な顔でジャスミンを見た。
「え、なに」
「それでやっと俺に振り向いてくれましたよね」
「え…」
真正面に座っていたテツがいそいそとジャスミンの隣に移動し手を握った。
「テツ?」
「ずっと押さえてたのに…これはただの''あこがれ''だって暗示してきたのに…ずるいですよ急に好きって」
「そんなこと言われたって…」
「ほんとにずるい」
テツはひとりごとのように呟き握った手をより一層強める。
「でも!結果オーライです。こんな幸せなら。」
「テツ…」
テツは「あっ」と言うとジャスミンに顔を近づけた。
「テツ、近くないざんすか?」
「ジャスミンさん…俺達も結婚しません?」
「は…?」
目の前に広がる悪戯っぽい笑みをこちらに向けるテツは10年前と何ら変わってなくて。
「俺は本気ですよ…?」
「…困った困ったこまどり姉妹…」
理解できる世代は一握りなんじゃないかという死語を発する口はテツに塞がれた。
