
エレベーターにて……
第1章 夢、風鈴、迷子は、終わったって!?
店員は心の中で思った。
(もう、このじじい、終わってるじゃない)
「私、まだ生きてまっせ」
店員は、息が止まりそうになった。
「えっ……いや、なんでわかったんですか!?」
「なんのことでっか?」
自虐的な口癖だ。
店員は、心を読まれたかと思った。
店員はため息をひとつついたあと、机の下から1枚のチラシを出した。
「もし、よろしければ、こちらに参加してはいかがですか?」
太丸はチラシを手に取る。
「この紙はなんです?」
「書いてるのは、その裏です。お客様が裏向きで紙を取られました」
「私は神を恨む気にはなれませんが」
「いいから読めよジジィ」
太丸はチラシに目を通す。
[簡単、ガラケー&スマホ使い方講座]
太丸はチラシを店員に向け、怪訝そうな表情を浮かべる。
「ここにいけば、簡単に使えるように、教えてくれるのかね?」
「そうです。御高齢の方から、お若い方でも使い方に慣れない人が参加して講習を受けておられます」
「SNSも簡単に……と、ありますが、SNSとは、サバ(S)生の(N)魚(S)のことですか?」
「早く行ってこいよジジィ」
5日後。
その日は日曜日。朝から、100円ショップで買った老眼鏡を手に、チラシに書いてある地図の場所を頼りに歩いてみる。
「なんか、わかりにくいのぅ……」
太丸はメガネをかけ、携帯電話を出した。
「んっと……たしかナビがあったはずじゃ……これじゃこれじゃ」
ナビ機能の使い方は、覚えたようだ。
場所の住所を入力し、検索すると、すぐに現在地の地図が画面に表示され、矢印が出る。
「なるほど。これは、わかりやすい。えっとこのまま歩いて約5分じゃな。交差点手前の……コスタリカビルの10階」
矢印が示す通りに、足を進める。
太丸は、ナビが示す矢印の方向に、とりあえず歩いてみた。
「おう、ここじゃここじゃ」
そこは、街中にある、わりと目立つタイプのオフィスビルだ。
入口のガラス扉を押し開け、エレベーターを見付ける。
ちょうどよく、1階に下りていたエレベーターに乗り込んだ。
だが……。
「なんじゃ? 10階だと書いておるのに、8階までしかないじゃないか」
(もう、このじじい、終わってるじゃない)
「私、まだ生きてまっせ」
店員は、息が止まりそうになった。
「えっ……いや、なんでわかったんですか!?」
「なんのことでっか?」
自虐的な口癖だ。
店員は、心を読まれたかと思った。
店員はため息をひとつついたあと、机の下から1枚のチラシを出した。
「もし、よろしければ、こちらに参加してはいかがですか?」
太丸はチラシを手に取る。
「この紙はなんです?」
「書いてるのは、その裏です。お客様が裏向きで紙を取られました」
「私は神を恨む気にはなれませんが」
「いいから読めよジジィ」
太丸はチラシに目を通す。
[簡単、ガラケー&スマホ使い方講座]
太丸はチラシを店員に向け、怪訝そうな表情を浮かべる。
「ここにいけば、簡単に使えるように、教えてくれるのかね?」
「そうです。御高齢の方から、お若い方でも使い方に慣れない人が参加して講習を受けておられます」
「SNSも簡単に……と、ありますが、SNSとは、サバ(S)生の(N)魚(S)のことですか?」
「早く行ってこいよジジィ」
5日後。
その日は日曜日。朝から、100円ショップで買った老眼鏡を手に、チラシに書いてある地図の場所を頼りに歩いてみる。
「なんか、わかりにくいのぅ……」
太丸はメガネをかけ、携帯電話を出した。
「んっと……たしかナビがあったはずじゃ……これじゃこれじゃ」
ナビ機能の使い方は、覚えたようだ。
場所の住所を入力し、検索すると、すぐに現在地の地図が画面に表示され、矢印が出る。
「なるほど。これは、わかりやすい。えっとこのまま歩いて約5分じゃな。交差点手前の……コスタリカビルの10階」
矢印が示す通りに、足を進める。
太丸は、ナビが示す矢印の方向に、とりあえず歩いてみた。
「おう、ここじゃここじゃ」
そこは、街中にある、わりと目立つタイプのオフィスビルだ。
入口のガラス扉を押し開け、エレベーターを見付ける。
ちょうどよく、1階に下りていたエレベーターに乗り込んだ。
だが……。
「なんじゃ? 10階だと書いておるのに、8階までしかないじゃないか」
