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第24章 ひらひら





A「かずくんはさ、勘違いしてるよ。
俺が涼のために進学先を諦めるほど想ってて、
涼のことは、すれ違いの末に別れた
悲劇のヒロインみたく思ってる?
結局さ、そんな程度のことで
別れる位の関係だったんだよ、俺と涼は。」



N「・・・なんで、別れたいって言われた時に
理由、きかなかったの? 」



A「なんでだろうなぁ…こいつがそういうなら
そうなんだろうって感じだったかなぁ。 」



N「?」



A「もう長いこと一緒にいすぎてさ、
良くも悪くもお互いのこと
知りすぎちゃってたんだよ。涼は、昔っから
一度決めたら譲らない性格だったから。」



N「・・・うん、 」



A「別れたいって言われた時は凹んだけどさ、
まぁ、もう終わった話だから。
結果は変わらないよ。 」



無理してるわけでもなく、

怒っているわけでもなく。

淡々と話すまーくんに、強い否定の意志を感じた。




N「・・・ごめんね?」




A「なんで謝るの(笑) 」



おいで?って手をさし出してくれるまーくんは

いつもの優しい笑顔。



その胸に顔を寄せると、

ギュッと包み込んでくれる。




A「この学校にきたことも、涼と別れたことも
にのちゃんと付き合ったことも
全部、俺の意思だから。」



俺の後頭部の髪の毛をくるくると弄びながら

ふふふ、と笑う吐息がくすぐったい。




心のつっかえが、いとも簡単にストンと抜け落ちる。

なんだ、こんなに楽になれるなら、

もっと早く話しておけばよかったな。






N「…今度の大会、応援いくからね。」



肩に顔を埋めたままそう伝えると

嬉しそうに、うん!と返事をくれた。



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