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第24章 ひらひら
#N
N「あのさぁ・・・。」
とりあえず連絡ちょーだいって言ったよね?
A「・・・ごめん。」
いきなり部屋におしかけてきて
絶対ダメっ!って喚いて
得意の支離滅裂な妄想炸裂だし
N「結局潤くん追い出しちゃったじゃん。」
風呂行ってくるわっていった潤くんの手には
着替えと勉強道具。きっと風呂の後そのまま
翔くんの部屋に行ってくれるつもりなんだろう。
いつもいつも申し訳ない。
A「・・・で、話ってなに?」
俺よりも背が高いくせに
しょぼんと体育座りして小さくなるまーくん。
黒目がちなその目が不安げに俺を捉える。
N「あー、うん。あのさ・・・。」
ぽつり、ぽつりと今日あったことを
まーくんに報告した。
涼さんに会ったこと。
前にも実は2人で話したことがあったってこと。
涼さんが別れを切り出したのは
全てまーくんのためだったってこと。
…そして涼さんはまだまーくんのことを
好きだってこと
N「・・・2人がもともと付き合ってたのも
知ってたんだ、俺。」
A「そう・・・。」
まーくんは今、何を考えてるんだろ。
N「ほんとは、涼さんの気持ちを俺が言うのは
違うのかな、とか思ったんだけど・・・
それでも、なんかこのままふたりが
すれ違ったままなのはやだなって思って…。」
A「・・・うん?」
N「俺は、まーくんと付き合っていたいけど、
まーくんがもし涼さんを忘れられずにいて、
とかだったら、遠慮なくいって欲しいし…」
A「そんなことはないよ。」
N「でも…」
A「それに誰がなんと言おうと
進学先を決めたのは俺だし。
涼のためももちろんあったけど、
それは二の次、三の次で。
色々考えて考えて、地方の名門校に
勝るチームを作るためにこの学校を選んだ。
断じて諦めじゃない。
ここで全国制覇するって決めたんだ。」
誰がそんなこと言ったんだよ、と
髪の毛を掻き毟るまーくん。
悔しさを隠そうともせず硬く握りしめたその拳に
そっと手を添えた。
