幸せの欠片
第12章 その先へ
「なん、で?」
「…俺も、寝てないから」
“起きてるのは、気配で分かってた“
「かずがこっち見てるのも、気付いてた」
相葉さんの手が、髪の上を何度も往復する
「……キス、していい?」
その手が耳に触れて、一瞬身体が跳ねた
指が掠めただけなのに、ぞくりとする何かが背筋を駆け抜けた
「…うん」
俺も、相葉さんとキスをしたい
布団の中の腕を出して、それを相葉さんの背中に回して目を閉じるとすぐに
相葉さんの吐息と共に、唇を優しく覆われた
啄むように、触れては離れ、離れては触れ
それに合わせるように相葉さんの手のひらが頬を撫でる
薄く口を開いたのを見計らうように、相葉さんの舌が咥内に滑り込んだ
「…、ん……っ」
息を奪われて、じんわりと頭の中が熱くなる
背中に回していた手を首に移動させた俺は、更に相葉さんの舌を求めて自分から舌を絡めさせた
「ふ…、んぅ…っ」
だけど
主導権を握った筈が、すぐに逆転される
捉えた筈が捉えられて、俺の舌は相葉さんの思い通りに弄ばれた
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