幸せの欠片
第12章 その先へ
おやすみ、と触れるだけのキスを交わしてから
相葉さんは俺に背を向けた
それが何故か自分を拒否されたように感じて、やけに切なさを覚えてしまう
ー…こっちを向いて欲しい
そう言えば良いだけなのに、それは言えない
相葉さんなら聞いてくれると思うけど、だからこそ言えなかった
仕事があるのを分かってて、泊まりたいなんて言った俺を、快く受け入れてくれたんだから
これ以上望んだら贅沢だ
息を潜めて相葉さんの背中を見つめた
静かに上下する肩
微かに聞こえる吐息
見つめるくらいは、許されるだろう
起こすつもりなんてないのだから、眠くなるまでは見つめていたい
…なんて言っておいて
これっぽっちも眠れそうにないんだけど
だけどすぐに
息を殺す方がむしろ不自然なんだと言う事に気付かされた
「眠れない?」
見つめる背中が動いて、相葉さんがくるりとこっちを向いたからだ
「ずっと起きてたでしょ」
ふわりと髪を撫でて、…少しだけ眉を下げた
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