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Treasure of life

第11章 After the rain

玄関ではアレなので…、とリビングに通される。

「初めまして。私、侑李の兄の翔と申します」

「侑李くんのお兄さんですか。侑李くんが所属している美術部顧問の大野です。お世話になっております」

「こちらこそ。
母から聞いてます。先生が毎日のように足を運んで下さっていると…。
侑李のことなのですが…、完全に心を閉ざしてしまっていて……。私も何度も説得を試みてはいるんですが、全くダメでして……」

「お兄さんでも…ですか……」

「不躾なお願いですが、大野先生ならきっとあの子の心を開けると思うんです!」

お兄さんは俺の手をガシッと掴み、懇願するような目でそう訴えた。

「僕に出来るかわかりませんが…やってみます」


そして、お兄さんは少しの間のあと、一層険しい表情になってこう続けた。

「……それと、私、先生に謝らなければならないことがあるんです……」

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