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Treasure of life

第11章 After the rain

side M

智くんが電話をかけてきてくれた。

それだけで嬉しかった。

それまで霞んでいた心にパッと灯がともる。

やっぱり俺は智くんがいないとダメだ、そう感じた。


智くんから連絡があり、向かったのはいつもの公園。

早く会いたくて昂ぶる気持ちを抑えきれず、待ち合わせ時間より早く着いた。


そわそわしながら待っていると、向こうから走ってやってくる見慣れた人影……。

「潤!」
「智くん!」

駆け寄って、抱きしめ合った。


「潤、会いたかった」

「俺も……。智くんのこと、忘れた日はなかったよ」

目一杯、智くんの香りを吸い込む。

「……潤、気づけなくてごめん」

俺はふるふると首を振って、精一杯の言葉を紡いだ。

「もう会えないかと思った」

ぼろぼろと溢れ出す涙。

「ごめん」

智くんはそっとその涙を拭って、強く抱きしめてくれた。

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