
Treasure of life
第11章 After the rain
―――あくる日、職員室にて。
「はぁ…」
潤のことばかりが頭をよぎって深く溜息をつく。
「大野先生、溜息なんかついて…。何か悩み事ですか〜?」
「いえ、なんでもないんです」
とは言ってみたものの。。
俺は、別れ際に泣いた潤の心理がどうしても腑に落ちなくて、隣の席の加藤先生に聞いてみることにした。
「加藤先生……。例えば、なんですけど……恋人同士が別れるときに、振った方が涙を流すってことあるんでしょうか?」
「それって、自分が恨まれないための演技なんじゃないですか〜?」
「そうなんですか!?」
「現に、大野先生、その人のこと悪く思ってます?」
「いえ……」
「じゃあきっとそうです!泣くほど別れたくないなら別れなければいいんですよ」
「…そう、ですよね…」
「そうですよ!ズルい人です。そんな人さっさと忘れて次行きましょう、次!
あっ、今度合コンセッティングしますよ!」
「あ、俺そういうのはちょっと……」
「じゃあ僕と食事でも…」
「遠慮します(キッパリ)」
「ツレない〜(笑)」
加藤先生は肩を窄めた。
本当にそうなんだろうか……。
