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Treasure of life

第10章 三日月

side A

そっと、触れるだけのキス……。

「怒んないの?」

ニノちゃんは少し赤くなって俯いたまま、コクッと頷いた。

嫌じゃないの?

抵抗しないの?

ニノちゃんの気持ち、聞かせてよ……。


「…ん…、んっ」
抱き寄せて、今度は少し深いキスをしてみる。

「……ん、ふぁっ」


「ニノちゃんの声、えろいね」

「バカッ!!」

俺の胸をポカポカと殴る手を取って、ニノちゃんを見つめて。

もう一度、愛の言葉を紡いだ。

「ニノちゃん……、ずっと好きだった」

少しの沈黙のあと、

「……俺も…あーばさんのこと…、好きだよ」

ニノちゃんは、俺が聞き取れるくらいの小さな声で返してくれた。

その言葉が嬉しくて、照れながら言ってくれたニノちゃんが愛しくて。気づいたらその細い身体をキツく抱きしめてた。


夜空には瞬く星とともに、さっき見た三日月がキラキラと輝いていた―――……。


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