
ねぇもう嫌・・・
第21章 検査④
『外行く?』
「うん、行きたい。」
病棟にいるより、外の方が安全だと思ったし、暁くんの隣で歩けるなら嬉しいと思った。
暁くんに "こっち" と案内されて、庭まで歩く。
暁くんは歩くのが遅めで、付いていくのは簡単だった。
バレーで骨折し、同時に変なトコも打ち付けて。
そのせいで半ば強制的に入院になった。
初めてあの個室に来た時は、
こんなそわそわする気持ちを味わうとは思わなかった。
「誰かと外に出るの初めてなの?」
『うっせぇ。悪いかよ…』
ふと私が聞くと、暁くんは照れ隠しに頭を掻いた。
サラサラな黒髪がさわさわと揺らぐ。
美男子。
暁くんの様子を見てクスッと笑いながら
そう頭に文字を浮かべた。
