
ねぇもう嫌・・・
第21章 検査④
『ほーら。早く横になって。』
柊先生が立ち上がって、聴診器を首に掛けた。
「っ…」
指先でシーツを掴んで、ぎゅっと握った。
『…怖い?』
「っ…」
自分の思ってることを、誰かに口に出されると、
絶対涙が出ちゃう…
今も同じ…っ。
『…っ。俺だって医者だからね。
患者に異常があったら診なきゃいけないんだよ。
ほら、横になるよっ。』
「っ…」
胸をはだけたまま、柊先生に体を押し倒された。
『…で、何処が痛いの?』
上裸の私を前に、柊先生はベッドの傍らに座った。
「っ…」
『ん、手で隠さない。
…言えないなら触診するしかないよな。
…そんなに俺に触られたいの?』
「っ…」
『後でゆっくりやるから、今はこっち。
ね、何処?』
「…っ」
そっと、左手で拳を作った。
そのままゆっくりと顔を左に向け、その先の窓をじっと見つめた。
『…左?
…もっと細かく診るから、触るよ。
痛かったら、俺の白衣でも腕でも掴んで。』
そう言うと、柊先生が手首まで少し腕捲りをし、スっと手を伸ばした。
