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ねぇもう嫌・・・

第21章 検査④



前開きの薄手のパジャマ。




そのボタン一つ一つ解いていく毎に、




動悸が激しくなっていって、




すごく苦しい…




『…下着も取って。』




「っ…」




手を襟元に掛けたまま、少し躊躇(タメラ)った。




『すぐ終わりにするから。』




「…っ」




そう急かされても、羞恥心が勝る。




このままやって欲しい…




何も、見せたくない…っ




指同士が擦(コス)り合うと、同時に足の指がピクっと反応した。




少し俯く私。




『…そんなに俺のことが嫌い?』




「…」




『今まで医者としてやってきたけど…、』




柊先生はため息混じりに話し始めた。




『そんなに君に意地悪してきたかなぁ。』




「…」




『昨日の検査も、俺だから嫌だった?




俺じゃなかったらちゃんと出来てた?』




心の中では全部違うって、




否定したいのに…




首すら振れなかった。




『検査が終わったあとの君のその虚ろな眼、』




『…忘れられないんだよな…。』




聴診器のその感触を確かめるようにペタペタ触りながら俯く柊先生。




「っ…」




『本当は、』




『…欲情してたんだろ。』




「っ…」




胸の奥、軸の中心、脳のど真ん中、コツンとノックする。




それがこだまして幾つも重なって、反響する。




胸が痛くて耳も痛い。




『今君が素直になってくれるなら、俺もちゃんと対処するよ。』




『…どうなの?』




「っ…」




なんで分かるの?




医者だから?




男、だから?




昨日の自分と全く裏腹。




昨日の検査は、果たして"仕方の無いこと"だったのかな。




…諦めて少し頷いた。




『やっぱり。』




柊先生が小さく笑った。




"押し問答には弱いんだね。"




柊先生の細い声が小さい耳の穴にすぅっと入ってくる。




どういう意味…?




不意に柊先生が私のパジャマに手を掛けた。




「っ…」




『手離して。まずはコッチから。』




言い終わる前に柊先生に一気に前を開けられた。




「っ…っ…」




思わず手を首元に当てた。




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