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ねぇもう嫌・・・

第21章 検査④



「んっ…っ…ぅ…」




もう足の力だけじゃ立てないくらい




全身から力が抜けていった。




『一回落ち着きな。…深呼吸して。』




柊先生が、"ティッシュもう1枚" と看護師に要求する。




ソコに触れる手が離れても、ソコに残る感触は未だ新鮮。




「っ…、、。」




佐藤先生が、反対側から私の方に移動してきて、




そのまま私の顔を横から押して、




私は佐藤先生の胸元に頭を預ける形になった。




苦しくて辛くて、




この遣る瀬無い気持ちの行き場が分からなくて、




そんな涙が止まらない私の頭を、




佐藤先生は優しく撫でてくれた。




『…あと少し我慢して。…いくよ。』




「…ンッ…っっぁ…っ」




佐藤先生の腕の隙間から柊先生の手が見えた。




腕を捲る。




それは白くて、細くて。それでいて頼もしい腕。




その手が、私の…




「ん、っ…」




考えなくても顔が火照る。




「…柊、もうやめ…」




『バカ。お前本当に医者か?』




「っ…」




柊先生のそんな言葉…怖すぎる…




『清潔にしないと駄目だから、消毒も塗ってんの。特に此奴は細菌に殺られやすいから。』




「っでも…」




『…今終わった。じゃ撮ろう。お願いします。』















そんなこんなで最後の写真を撮られ、佐藤先生が検査室から去った。











検査台から降り、台に置かれたタオルでそっと前だけ隠した。




他の看護師や医師たちはパラパラと散り、やがて誰もいなくなった。




『撮った写真見てくるから。その間着替えな。』




そう言って柊先生はマジックミラーに歩いて行った。




残された私は、検査台にちょこんと置かれた籠から着替えを取り出して、着替え始めた。





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