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ねぇもう嫌・・・

第13章 治療



『どうして黙ってたの?』


柊先生の声がさっきより低くて、目を開けるのが怖い。


「…」


『…はぁ。何かあったら来いって言ったのに。』


柊先生のコツコツという革靴の音で、ゆっくりと目を開けた。


少し見上げると、柊先生はいつの間にか私から少し距離を取っていた。


近づいてくる生徒の笑い声に一瞬ドキッとした。


『…腰背部の痛み、悪寒(オカン)、震え、発熱』


"次に君に襲いかかる症状はもうすぐそこまで来てる。"


柊先生の言葉はまるで独り言のようで、私に喋りかけているようでもあった。


その言葉が怖かった。


柊先生に信頼を置いていた分、本当にそうなるんじゃないかと。


『何で病院に来ないの?何で放置するの?…俺には理解できないんだけど。』


柊先生はくるりと体を回して私の方を向いた。


「…っ」


«診察も検査も嫌だから»


なんて言えなかった。


『いつから?』


『前回の診察時は?』


『俺に全部教えて』


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