
今日も明日も 2nd season
第1章 見えない鎖 Ⅸ
「俺、やだって言ったくせに、でも…あの…」
真っ赤な顔が、更に真っ赤に染まる
これ以上赤くなったら、火を吹きそうな程に赤い
「うん、なに?」
ぽんぽんと、握らてない方の手で背中を優しく叩く
「…怒ら、ない?」
「怒らない。かずくんが出てくって言わないなら」
緊張したように、ゆっくりと震える息を吐き出したかずくんが
「目を、瞑ってください」
声も震わせて、小さく言った
「目?」
「はい…」
「瞑るの?」
「はい」
何をされるんだろう
まさか刺されるなんて……それはないか
とりあえず、かずくんの言う通りに目を瞑ってみせた
ああ…俺過去に “目、閉じて?“ って何回か言った事あるけど
これ、かなりドキドキするもんなんだな
ここに来て初めて知った
目を瞑ったのはいいけど、そこから何もない
俺はいつまでこうしていたらいいんだろう
「ねえ、…」
“どうしたの?“ …そう、聞こうとした時
俺の唇に、柔らかい何かが……触れた
