無料で楽しめるちょっと大人のケータイ小説

エントランスで降ろしてもらい、食材の入った袋と自分の鞄を持ってエレベーターまで急ぐ

ゆっくり動くエレベーターすらまどろっこしい

「会えなくても仕方ない」なんてどの口が言うんだか

はは、と思わず一人で笑ってしまった

…この建物の、自分の部屋ににのがいると思うだけでこんなに気が急いているくせに



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玄関を開け、視線に入った自分のものではない靴に唇が緩む

にのが出迎えなんかする訳ないのは分かってるから、そこは気にしない

あの磨りガラスのドアを開ければ、久しぶりなんて言葉が嘘のように、にのは寝そべってゲームをしているに違いない



「あれ？」

だけどそのドアを開けても、広いリビングに人影はなかった

テレビは付いていて、バラエティ番組が垂れ流されているだけ

トイレにでも行ってるのだろうと、キッチンに向かって買ってきた食材を取り出しながら、…妙な違和感を覚えた

トイレにしては、廊下を通る時電気が付いてなかった

そういえば人の入ってる気配もなかったと思う