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今日も明日も 2nd season

第47章 行きつくところは



ーーー…猫、みたいだよなぁ



いや、猫はこんな寝方はしないけど


横を向いて小さく丸まって、身体の下の腕と外側の腕を顔の前に力なく置いて

可愛らしい、少し男にしては柔らかみのある手は赤ちゃんよろしくふんわりと握られて


うん?

猫っつーか、赤ちゃん?


でもやっぱ、赤ちゃんよりは「猫」のがこいつには当てはまる気がする


****

「今日そっち行くから」

そっけなく、と言うか当たり前のようにすれ違い様に告げたのはにのからだ

撮影の交代で廊下で顔を合わせた時だった


「え、あ…」

一瞬意味が分からなくて振り向いた時にはもう、にのの背中は遠くなっていてそれを理解するのに20分は費やした気がする


何せこの頃はお互い時間が合わなくて、二人で過ごす「間」が取れてない

寂しくないと言えば嘘になるけれど、次から次に入る仕事もまた、いつ切られるか分からないこの厳しい世界だけにこなす以外の選択肢はないに等しかった

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