テキストサイズ

今日も明日も 2nd season

第6章 1周回って好きになった


マンションに向かう間、にのは一言も喋る事はなく

俺も特に何を話して良いか分かんないから、お互いが無言のままで

だけど何故か繋いだ手は、にのの方からきゅっと握られていて

その手が男にしては柔らかくて
…俺のより小さくて

また、ドキドキと胸が煩くなってしまった


何だかこのまま繋いでいたいようなおかしな気持ち

…にのがやけにしおらしいから、俺も調子が狂ったみたいだ



「…相葉くん」
聞き逃しそうな小さな声

「なに」

だけど近くにいるから、ちゃんと聞こえた

…ってか、名前呼ばれんの初めてじゃね?

俺の事 “相葉くん“ って呼ぶんだ

てっきり呼び捨てだと思ってたのに


「あの、さ」

「うん」

マンションまではもう、後少し

あの先の角を曲がれば建物が見えてくる

“あのさ“ から再び無言になったけど、敢えて俺も聞き返さずにいた

足が何故かゆっくりになる

にのの歩くペースが落ちて、自然とそれに合わせた

何だろうな、この変な感じ

ストーリーメニュー

TOPTOPへ