テキストサイズ

今日も明日も 2nd season

第46章 見えない鎖 part ⅩⅤ


欲を吐き出せたからか、かずくんの表情はかなり落ち着きを取り戻していた

どうやら今回の発情は軽かったみたいだ

ー…良かった

聞こえないように、小さく息を吐く

俺の中の理性と欲望の闘いは、理性が勝てた


「まー、く…」

「眠っていいよ。…傍にいる」

只でさえそこまで体力がないかずくんは、既に目を開けていられなくて

俺の言葉に少しだけ口元を歪めると、あっという間にその意識を手放した

小さな子どもみたいな寝付きの良さに苦笑する

力の抜けた手をそっと布団の中に入れて、かずくんの精に濡れた手を洗うべく静かに立ち上がった


ー…何だかな

しっかり主張している自身は、簡単には収まりそうにない

幾ら顔を見ないようにして何も考えないようにしていたって、耳に入る声と音には敵わなかったようだ

どことなく虚しさを覚えながらも、かずくんを傷付けずに済んだ自分を自分で褒めてやりたいと思う

無意識に上がる溜め息を押さえる事なく、自身を静めさせるべく、重い足取りで風呂場に向かった


ストーリーメニュー

TOPTOPへ