
今日も明日も 2nd season
第36章 H B M *黄×緑×ちょっとだけ黄*
キッチンに押し付けた筈の雅紀が、体勢を直して
俺を抱き締める
俺より遥かに強い力
火傷しそうなくらい熱い視線
手は自由なのに動かせない…いや、動けない
「待て…雅紀……」
「やだ」
何が "やだ" だよ
雅紀のくせに……
ヤバイ、と思わず目を瞑った瞬間
雅紀の腹から聞こえた間抜けな音に空気が乱れた
目を開けると、何とも言えない雅紀の顔があって
「ぷ…、ふはっ!」
「もー…っ!」
吹き出す俺と、顔を赤くして苦笑する雅紀
タイミング良すぎだから、それ
「ほら、飯にしよ?」
力が抜けて動けるようになった腕を持ち上げて雅紀の肩を叩く
雅紀も、勢いをなくすと途端に挙動不審になって
「う…うん、そうだね」
さっきの熱い視線が嘘のように落ち着かなげに揺れていた
小さなテーブルに向かい合い
買ってきた適当なつまみと、雅紀の買ってきた1個の唐揚げ弁当
「1個しかないから、半分こしよ」
雅紀がグイッと俺の方に差し出す
「え、俺いらな…」
「ダメ、ご飯はしっかり食べなきゃ」
…お前は母親か!
