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今日も明日も 2nd season

第34章 愛しい人 *赤+紫×青*



だけど

潤がゆっくり唇を離してしまって

潤の瞳にも涙が滲んでて


…悲しそうに顔を歪めてて


俺、やっちゃったかな
……なんて自己嫌悪に陥ってたら



「も……なんなんだよ…」

ぽつり、と智くんが呟いて

強張っていた彼の全身の力が抜けたのが分かった


両手をシーツに投げ出して、天井を見つめている

潤はすぐに横に避けて

俺と並んで、智くんの言葉を待った



「…俺に、どうしろって言うの?」

今度は投げ出した両手で顔を覆いながら、また呟いた


「ごめん…っ大野さん、ごめん…!」

潤の目から、涙が零れ落ち智くんの胸元に染みを作る

その感触に、腕の隙間から智くんがチラリと目を覗かせた

「ごめん…本当にごめんなさい…っ」


「お前…マジでふざけんな


謝るくらいなら、あんな事すんじゃねぇよ」


「ごめ…」


ガタガタ震えてた智くんは、もういない


潤を見て、怯えた姿も

悲鳴を上げて崩れた姿も



鋭く潤を捉えている智くんからはもう、全く想像がつかなかった


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