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今日も明日も 2nd season

第29章 高校教師 *紫×青*


ー…何となく、気付いていた

俺がこいつを

大野を好きなんだって事は


生徒だから、とか担任だからとか、色々ありすぎて認めたくなかったけど

本当はキスした時に、はっきりと自覚した



だけどそれは同時に

この恋が儚く終わるのも意味していて


自分の立場を恨めしくも感じていた




職員玄関まで一緒に歩き、靴に履き替える大野を黙って見つめる

それから外まで一緒に出て、門の手前で見送ってやった


「気をつけて帰れよ」

せめてこのくらいは担任らしくしたい


「うん、あ…センセ?」

「ん?」

「もし…コンクールで賞を取ったら……」

“…………?“


「え?なに?」

たまたま近くを通ったバイクに書き消された大野の言葉


だけど大野は曖昧に笑うと、手を振ってさっさと踵を返して歩き出し

言い直しはしなかった



ー…なんだよ

俺、大人なのに振り回されっぱなしかよ


遠ざかる大野の小さな背中を見送りながら

どうしようもなく複雑な気持ちで胸がいっぱいになった

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