
今日も明日も 2nd season
第28章 bartender *赤×緑*
「おい!あそこの二人組、勧めてこいよ」
カウンターから翔ちゃんが声を上げた
翔ちゃんの言った視線の先には、空のグラスを放置して
お喋りに興じている女子二人
「…りょーかーい」
ちょっと面倒だな、と思いながらも
言われたからには逆らえるはずもなくて
俺はたらたらと歩いてそのテーブルに向かった
「ねーねー、おねーさん達さぁ、もう1杯くらいどう?」
営業スマイルを顔に貼り付けて、人懐っこいフリを装う
「えー、おにーさんの奢りぃ?」
ギャハハ、と下品な笑い声を出して、何がおかしいんだか手を叩いてる女達
ー…こんな奴らに、翔ちゃんが堕ちるわけねーだろ
心で毒吐きながら、"それは勘弁してよぉ" なんて媚びたような声を出す俺も
ホント馬鹿みたいだよな、なんて冷めて見ている自分がどこかにいて
それでも "仕事" と割り切って、チャラい俺を演じている
これが俺の生き方
適当に笑って適当に流す
それくらいが、俺にはちょうどいいんだ
