テキストサイズ

今日も明日も 2nd season

第22章 見えない鎖 part ⅩⅣ



ここ数日離れる事がなかったからか

俺が玄関を開けるとかずくんは目の前で三角座りをして待っていた

「まーくん…」

泣き腫らした目は、最初の頃と同じ

不安で不安で仕方ない、と言った表情に胸が痛む


「ただいま」
安心させるように笑って、かずくんの目の前にしゃがみ、顔を覗き込むと

かずくんがおずおずと手を伸ばして

…だけどしっかりと俺の首にしがみついた


やっぱり、あの日からかずくんの不安定さは酷くなったと思う

ここに来てからは、いつも俺がいたからあまり感じさせなかっただけで

常にくっついている事にも慣れてしまっていただけだ


しがみつくかずくんの背中をやさしく撫でる

「かずくん、あっち行こ」

「…はい」

返事はしたけど離れる素振りは見せようとしないかずくんに苦笑した

「これじゃあ、動けないよ?」
「はい……」

全然弛む気配を見せない両手

きっとかずくんに離れる気はないんだと思う

「ほら、くっついてていいから、行こ」

抱っこしてあげたいけど、如何せん今日は荷物が多い

抱き着かせたまま、どうにかして立ち上がらせた

ストーリーメニュー

TOPTOPへ