
今日も明日も 2nd season
第19章 見えない鎖 part ⅩⅢ
「確かにさ、かずくんには気分転換は必要だよね。にゃん太がいても」
「ありがと、ございます…」
「ん、ほら付けて付けて」
シンプルな緑色のエプロンには、小さく猫の刺繍が施されている
「これ、にゃん太…」
思わずその部分を持ってまーくんに見せると
「そうかも。似てる」
バカにする事なく、まーくんは笑いながら頷いてくれた
まーくんが、俺の後ろにぴったりと立って一緒に包丁を握っている
「なんか、こわい…」
「大丈夫。一緒にやるから」
左利きの俺に合わせて、まーくんがゆっくりときゅうりに包丁を入れた
「わ、」
サク、と軽い音と共にきゅうりが2つに分かれる
「こうやってね、適当に切ってごらん。右手はそう、猫の手」
指を丸めて、見本を見せてくれるから
それを見ながら同じように真似た
「大きさは気にしなくていいから。切るのが出来れば充分」
「はい」
教えて貰ったように、慎重に包丁を構える
まーくんは隣から、ちょっと心配そうな顔をしてそれを見つめていた
