
今日も明日も 2nd season
第18章 君は君のままで
「はい」
「ありがと」
当たり前のようにソファーの隣に座ったにのが湯気の立つコーヒーを差し出した
お互いに一口飲んで、ゆっくりと息を吐いて
…ほぼ同時に行われたそれに思わず目を合わせてクスクス笑う
「懐かしい夢見てた」
「夢?」
コーヒーの香りを楽しみながら、ぼんやりと視線を窓に向ける
「お前が、初めてキスしてきた時の」
「あはは、それはまた随分懐かしいね」
あの時は聞けなかったけど
今、こうしているんだから不思議と言えば不思議だと思う
「あれはね、試したの」
面白そうににのが目を細めた
「試した?」
「うん」
「何を…?」
こいつも、時々何を考えてるか分からない
それは昔から今も変わらなくて
「んー、内緒」
「なんだよ」
ほら
変なとこで秘密主義
思わせ振りな言い方をして、どれだけ詰めても絶対に口を割らない
ただ
見ているうちにあらかたは分かるようにはなって来たけれど
「今、こうしてる事が答えかな」
小さく呟いたにのがまたコーヒーを口に含む
前を向いたその横顔はとても穏やかで、…綺麗だと思った
