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Best name ~ ひまわりとの約束 ~

第12章 花の命・・・

溢れんばかりの献花
数えきれないほどの花で埋め尽くされる
葬儀場・・・



だけどさ





なんで・・・あの花がないんだよ。





例えば…こんな悲しみが溢れる場所に

ふさわしくない…真っ赤なバラでも


例えば・・・太陽みたいにまぶしい

きいろい花でも



その人に…いちばん似合う花

その人が・・・大好きな花を

オレなら…手向けたいと思う





例え…たったひとりでも


例え…たった一本でも、いいじゃないか


持たせて…やってくれよ





この人に・・・一番ふさわしい

∥この花∥を・・・。




オレは静まりかえってしまった
周りの空気にかまうことなく
祭壇に・・・足を進めた





棺の中に眠る・・・手を組んだカンナ




埋めつくされるほど
花に囲まれて


死に化粧…っていうのかな
綺麗に支度を施されて


そして…カンナのお気に入りだった
いつかの、あの
ひまわりの浴衣を羽織らせてもらって




穏やかな顔で…まるで

ただ眠ってるようだった・・・






オレは、その…白い頬に


そっと触れて


目の前で眠っているカンナが・・・





∥二度と目を開けない眠りに∥

ついていることを…知るんだ


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