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かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~

第17章 翼を・・・ください

『~~っ…』

『っ…っく…ひっ…く』




お互いに…どうにも止められない涙で
目を赤く腫らしながら
気付くと抱きあっていた


俺がマリアの頭や背中をさすり

マリアが俺の手や背中をさすり・・・





『グス・・・ゆぅちゃん?…もう、行って?』

『っ・・・グス…っ』






『あの人…来ないと思うけど
また、よりによって…とかあると悪いから』


『グス…っ・・・あぁ』





〃あの人…来ないと思う〃


俺も…なんとなくそんな気がしてた


思いたくなかったけど


あの男は・・・所詮



・・・なんて。




俺はマリアからはなれて
涙や鼻水を拭い、帽子を目深に被る






『マリア・・・無茶だけはしないでくれ』

『うん・・・』



『たのむ・・・約束してくれ』

『・・・うん』




俺とマリアは
握手でもするみたいに小指を絡めて
約束し・・・俺は病室を後にした





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