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かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~

第29章 果たされぬ・・・約束

『~~…グスっ・・・ごめんな、エリカ』



しばらくして俺は

ようやく顔を上げて

エリカの頭に手をのせた




『・・・?』







『俺の、そんな過去の事情(ワケ)で

お前に…押し付けみたいなことばっか』







『ユウト・・・』








『それでも…俺は…お前に・・・

せめて・・・まだ若いエリカには…

まだまだ…これからのエリカに

〃同じ目に〃遭ってほしくなかった…』








この子を…悲惨な目に遭う道から

引き返させる事で

俺の罪が消えるワケでも



アイツに対する

〃贖罪〃になるワケでもなんでもねぇ




それでも…この子を

見殺しにするみたいな事は

どうしても出来なかったんだ





アイツのように・・・

マリアのような目に遭う女は

誰であっても・・・嫌だったんだ










『ごめんな・・・エリカ』





『ユウト・・・ううん♪』



エリカは涙をこぼしながら
微笑んで首を何度も横に振った






『悪いことしてないのに

謝るもんじゃない…って

エリカのパパが言ってた』






『~~…ふふっ…

エリカの父ちゃん…わかりやすいのな?』







『曲がった事は…キライって
アタマはチョー固いんだけどさ…』







『ふふっ・・・』








『これも・・・ユウトの言ってた

〃親は長く生きてるから知ってる〃
っていうのなのかな

ユウトは・・・経験してるから
エリカより…知ってる

エリカより
正しいことを知ってる

って・・・エリカ思った
ちょっと・・・わかった』






『・・・』







『だから・・・エリカ

ユウトの言うことは

聞いておいて・・・良かったよ』






エリカは・・・照れくさそうに
前髪を上げて

アザのほとんど消えかけたオデコを
チラリと見せてきた






『・・・ありがと・・・ユウト』

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