
かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~
第29章 果たされぬ・・・約束
『・・・フゥ』
外に出た俺は…目的もなく
プラプラと道を歩く
本当は…用事なんかない
一人に・・・なりたかっただけだ
まるで・・・逃げるように
『ハァ・・・』
住み慣れた…そう言っても良い
この田舎町を
目的もなく、ゆっくり歩いたのは
初めてだった
ここに来て休日に…
目的地無しで出かけることも初めて…
『・・・』
ジャリ・・・
昨日…エリカが手を伸ばした
俺の胸元に隠れるネックレス・・・改め
リング
体の一部みたいに
ずっと・・・ずっと
つけっぱなしのそれ
『・・・』
ジャラ…
公園のベンチにもたれて
そのリングを空にかざした
〃M to Y〃
『・・・』
片割れの存在するリング
ペアリング・・・
付けてることさえ・・・忘れてる
そんな気になってて…俺は
本当は…知ってたんだ
誰も知らない場所に来て
過去の事も
誰にも何も聞かれる事もない
〃俺ら〃のことも…
その身に起こってきた事も
誰も…何も知らないし
詮索されることもない
だから…俺は
〃その気〃でいただけで
本当は…わかっていたんだ
〃俺たち〃の事も
〃アイツ〃の事も…誰も知らない
アイツなんか…いなかったかのような
そう麻痺させてくれる環境にいることで
目を背けていたから
俺は…本当はわかっていたんだ
自分でも…どうしようもない程
自分の知り得ない瞬間(とき)にさえ
アイツの事を…
夢うつつに…その名前を
呼び続けてしまう程
忘れられない事も…
そんな現実から
俺自身が必死に逃れようと
自分を…ごまかしてきた事も
思い出す事もない……?
そりゃそうだ
それも・・・そのはずだ
俺が…アイツを
思い出さないのは
アイツを
忘れたことなんて…ないから
アイツのことを
俺が〃マリア〃のことを
忘れたことなんて
一度もなかったからだ・・・
外に出た俺は…目的もなく
プラプラと道を歩く
本当は…用事なんかない
一人に・・・なりたかっただけだ
まるで・・・逃げるように
『ハァ・・・』
住み慣れた…そう言っても良い
この田舎町を
目的もなく、ゆっくり歩いたのは
初めてだった
ここに来て休日に…
目的地無しで出かけることも初めて…
『・・・』
ジャリ・・・
昨日…エリカが手を伸ばした
俺の胸元に隠れるネックレス・・・改め
リング
体の一部みたいに
ずっと・・・ずっと
つけっぱなしのそれ
『・・・』
ジャラ…
公園のベンチにもたれて
そのリングを空にかざした
〃M to Y〃
『・・・』
片割れの存在するリング
ペアリング・・・
付けてることさえ・・・忘れてる
そんな気になってて…俺は
本当は…知ってたんだ
誰も知らない場所に来て
過去の事も
誰にも何も聞かれる事もない
〃俺ら〃のことも…
その身に起こってきた事も
誰も…何も知らないし
詮索されることもない
だから…俺は
〃その気〃でいただけで
本当は…わかっていたんだ
〃俺たち〃の事も
〃アイツ〃の事も…誰も知らない
アイツなんか…いなかったかのような
そう麻痺させてくれる環境にいることで
目を背けていたから
俺は…本当はわかっていたんだ
自分でも…どうしようもない程
自分の知り得ない瞬間(とき)にさえ
アイツの事を…
夢うつつに…その名前を
呼び続けてしまう程
忘れられない事も…
そんな現実から
俺自身が必死に逃れようと
自分を…ごまかしてきた事も
思い出す事もない……?
そりゃそうだ
それも・・・そのはずだ
俺が…アイツを
思い出さないのは
アイツを
忘れたことなんて…ないから
アイツのことを
俺が〃マリア〃のことを
忘れたことなんて
一度もなかったからだ・・・
