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かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~

第29章 果たされぬ・・・約束

カシャ…

『・・・』


冷たい…俺の口調に
エリカがポツンとしてフォークを置いた




『や・・・ムダ口たたいてねぇで

早く食えって言ったんだよ』





なに・・・ムキになってんだよ俺は

女子高生(ガキ)相手に・・・








『エリカは・・・べつに・・・ただ』






『・・・?』







『ユウトが・・・悲しそうだったから』







少女の言葉に…言い様のない

焦りのような感情がわく






『何を…昨日から

訳のわかんねーこと言ってる…

お前じゃあるまいし・・・大きなお世話だぞ』








子どもは正直・・・その延長のように

コイツの言うことは

実にストレートで正直だ




この子は俺の何を見て

何を感じて

そんなことを言い出したのだろう



俺は…

理由もなく…焦っていた





『ユウトは…エリカの話は聞いてくれるけど

自分の話は…ちっともしないから』






『・・・』







『なんか・・・ユウトは

自分をイジメてばっかいる』








『は・・・?』







『えっと・・・その
エリカが言うのは…マジで変だけど

ユウトは…エリカに優しくしてくれて
その…助けてくれたけど

エリカは…助かったけど

でも…これって
ユウトにとっては…ヤバイじゃん』





『・・・』






『あ、もちろん…エリカは
誰にも言ったりしないよ、約束する

だけど…ユウトにはヤバイっていうか
それに…なんの得もないじゃん

そんな…自分をさ…イジメるっていうか
自分がヤバくなるようなこと…』






『・・・』





『なんで?』





『・・・』






『なんでそんなに…エリカなんかにも

優しくしてくれんの?』







『・・・』


またしても…











『そんなことしてさ

ユウトは・・・幸せなの?』





真っ直ぐな・・・純粋な

少女の問いには

答えられなかった

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