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そっぽ向いたエリカが
ﾋﾟｸっと肩を震わせた



『消えた命は…どんなに悔やんでも

泣いても恨んでも…戻らない』





『・・・』





『どんなに守りたくても・・・

産みたくても…産めない女(ひと)もいる』







『・・・』






『産まれて来たくても…

産まれて来れない命もある

お母さんに…逢えないまま

旅立つ命(ひと)も…いる』






『・・・』





『それも…同じ

お前が〃堕ろせばいい〃って言う

同じ〃命〃なんだぞ』





『・・・』





『いくらバカでもガキでもな…

そんくらいの責任は

そんくらいの事はわかっておけ』






『・・・』





エリカは、すっかりふてくされたみたいに

そっぽ向いて顔をあげなかった















『一緒に…考えるから

エリカが…どうしたら良いか
考えるから

それまでここにいていいぞ』





『ぇ・・・』






『本当は…警察に連れて行きたいし
そうするべきだ

だけど…お前にもお前なりの
事情があんだろ？』





『・・・ほんと？…いいの？』




エリカは…顔を上げて

無邪気にニコリと笑った





『あぁ…但し、最低限の常識とか

大人の言うことは聞け？わかったな？』





『うんっ・・・♪はぁい』





『・・・』








『なんて呼べばいいの？』






『うん？』







『お兄さんの事は…？』






『・・・？』







『もう…オッサン、て…言わないし

言いたくないから』






『ちょーしのイイヤツ…(笑)』






『〃シノミヤ ユウト〃…かぁ

う～んと…』







・・・は？





ヤツが手にしてるのは…

俺の名刺入れ







いつの間に？！







テメェはスリ師か？！


おいっ！？