
かごのとり ~ 家出娘の家庭事情 ~
第29章 果たされぬ・・・約束
『おい・・・お前』
『~~・・・』
『じゃなくて・・・エリカ』
『ぇ・・・』
俺は、ソイツの隣にしゃがんだ
『・・・エリカで、いいんだよな?』
『・・・』
ソイツは、ムッとして
少し大きめの荷物…リュックの中から
定期券のついたICカードを出して見せた
〃シライシ エリカ〃
本名だった
『ふふ・・・ごめんな?
エリカ…年も正直に言ったもんな?
いいとこあるじゃん…お前』
『え…?』
キョトンとしてるソイツ・・・エリカ
『高校生か?』
『ずっと・・・行ってない』
『そうか・・・。学校キライか?』
『ううん・・・勉強はキライだけど』
『ふふっ…そうか
どっから来た?……実家(いえ)は?』
『・・・~』
『~そうか・・・いつから帰ってないんだ?』
『3・・・ヶ月ぐらい』
マジかよ・・・
『~お父さんお母さんとケンカか?』
『・・・ん~…』
『・・・』
別に…ぶっちゃけどうでもいいけどな
『・・・彼氏と…同棲してる』
『・・・』
非常識きわまりななくて
貞操観念の欠片もない女(ガキ)
『ケンカしたのか?』
『ん・・・まぁ』
同棲してる彼氏がいながら
ケンカして、飛び出して?
家出して…行くとこなくて
知らない男に
平気で体売ろうとする女(ガキ)…
『そうか・・・~早く、仲直りしろよ?』
だからって、それ以上突っ込むことも
関わる必要だってない
ただ路頭に迷ってる訳でもないなら
別に…それでいい
『ま、今日はもう休みな…?』
俺はそのまま夜を明かそうと
ベットに入った
