
誰も見ないで
第14章 文化祭
「そういえば文化祭のーーーー」
「……」
色々な話をする木下さんの横を、ほぼ無言で歩く
どうして肩が当たるぐらい近いところ歩くの
歩く度にトン、と当たる肩を避けるように離れると、追うように近づかれ
最終的に道の端に追い詰められてしまっている
「ね、やばいよね?」
何がどうやばいの
あとどうしてそんなに友達の悪口がたくさん出てくるの
違う世界の言語を聞いてるかのように上手く理解出来なくて、悪口を肯定するわけにもいかないから曖昧に返事をする
息はちゃんとしてる筈なのに窒息死しそう
今の俺、顔真っ青じゃないかな
そんなことを考えたところで
「ところで渡辺君はさ」
突然木下さんの話の矛先が俺に変わった
「なに?」
「どんな女の子が好きなの?」
まず女の子じゃなくて瑞稀君が
っていうのは流石に言えないし
どんな
どんな
「髪が黒い、素直な人……?」
なんとなく瑞稀君を重ねながら答えると
「黒髪清楚系ね〜」
と、纏められた
まぁあながち間違ってはないけど
「うーん……」
唸る木下さんは染めているせいで薄っすら茶色がかった髪
