
誰も見ないで
第14章 文化祭
俺の方へと歩く顔は、はたから見たら爽やかなんだろうけど俺からしたら全く違う
明らかに何かを楽しんでる顔だ
しかもその何かっていうのの正体が、俺には簡単に想像出来るから嫌だ
「今から昼行くんだろ? 途中まで一緒に行っていい?」
「いい、けど……」
なんだって1日のうちにこんなに何度も人に注目されなければいけないのか
ため息と共に席を離れて正樹と一緒に廊下を歩く
「ーーーーで?」
「うん?」
にこにこ微笑んでいる正樹には、やっぱり俺の多少の睨みなんてあってないようなものみたい
「何しに来たの、って」
「酷いな。何かないと来ちゃダメなの?」
何そのキャラ
俺の前でも続けるの
「……」
俺が黙ると、正樹は俺の方をじっと見てから
耐えられない、というように吹き出した
「ふふ、ごめん湊斗」
「……」
謝られても尚黙っている俺の肩をぽんぽん、と叩きながら正樹はまた謝る
「ほんとごめん。馬鹿にしてるわけじゃないんだよ」
「……わかってるよ。面白がってるんでしょ」
ふん、と頭をソッポ向かせながら言うと、正樹は「だってさ」とまだ笑っている
「人に告白されてる湊斗が放心状態で、なんであんな態度なのかって話題になってたから」
